【自治体インタビュー:青森県田舎館村】「田んぼアート」が繋ぐ、一般参加者・村民・自治体の絆

2017 / 12 / 11
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「田んぼアート」という言葉を聞いたことありますか?

田んぼをキャンパスに見立て、色の異なる稲を絵の具代わりに巨大な絵を描く。そんな壮大なスケールのアート作品が田んぼアートなのです。最近では、関東・関西・九州などでも開催されておりますが、田んぼアート発祥の地は、東北の小さな村だったんです。

【自治体インタビュー】第6回 青森県田舎館村

田舎館村役場

田舎館村 田んぼアートオフィシャルサイト

多種の稲で壮大な絵を描く”田んぼアート”発祥の地。青森県田舎館村

青森県で最も面積の小さい村、田舎館村。
人口8000人あまりのこの村に、毎年夏になると30万人近くが訪れます。この観光客のお目当てこそ、田んぼをキャンバスに見立てた壮大なアート作品「田んぼアート」なのです。今年で25回目を迎えるこのイベントは、1993年に3色の稲でスタートし、年々技術が向上し今では7色の稲を使いこなし繊細で緻密なアートを作り上げ、いまや青森を代表する夏の風物詩となっています。

米作り以外にこれといった特徴もなかった田舎館村に、これほど多くの観光客を呼び込むイベントとなった「田んぼアート」。村外から人を呼び込めるイベントを模索中だった役場職員が、近所の小学生が行っていた「稲作体験学習」の田んぼ(3色の稲がストライプ上に植えられていた)を見て思いついたことがきっかけだったのです。

黄色、紫、地元のつがるおとめの3種の稲を使って、「稲文化のむら いなかだて」という文字と、地元津軽の象徴「岩木山」を描いた。これが田んぼアートの始まりだったのです。

1993年 第一回作品

10年目を迎えた2002年、NHK BSプレミアム「千人の力」の依頼を受け、地域住民1000人が参加する田植えイベントを実施。これを機に規模が大きくなり、田舎館の人たちの力を結集し作品がつくられる「田舎館の名物」になったのでした。

田舎館村発、全国へ。そして世界へ。

2012年からは、会場を拡張し第一・第二の2つの会場で開催されるようになりました。

2017年 第1会場「ヤマタノオロチとスサノオノミコト」

2017年 第2会場「桃太郎」

第一会場:田舎館村役場
第二会場:道の駅いなかだて

また、稲の種類を増やすことで、より緻密な作図を表現できるようになり、近隣市町村のみならず全国から田植え参加の希望が入ることになりました。絵柄の細かい部分は、役場職員や専門の農家が田植えを行い、稲が成長して間違いが発見された時は稲を植え直す。その管理も役場や農家の仕事となっている。

こうした運営方法や技術開発は、海外でも注目されており、フランスや中国からも研修として開発者が来村したり、技術指導を受けに赴くこともあるそうです。

2012年 第2会場「七福神」 © Copyright 永井豪/ダイナミック企画

2013年 第2会場「ウルトラマン」 © Copyright 円谷プロ

一年中楽しめる「自然アートの村」を目指して・・・

田んぼアートは、夏から秋にかけての期間限定の作品であり、アートを楽しめる時期は7月中旬~10月中旬の3か月間あまりしかありません。(中でも最も色鮮やかに見える時期は、7月中旬~8月中旬)
田舎館村では、一年を通じて自然アートを楽しんでもらいたいという思いから、2015年に「石のアート」、2016年に「冬の田んぼアート」という自然アートイベントを毎年開催しております。

石のアート

色が異なる小石を並べて故人の肖像画を描く「石のアート」。
2015年「高倉健さん」2016年「石原裕次郎さん」に続く、第三弾となる2017年の作品は、「Princess Diana」の名称で、英国の故ダイアナ元妃を鮮やかに描いています。

開催場所:弥生の里展望所(道の駅いなかだて)※第2田んぼアート会場
住所:〒038-1111 青森県南津軽郡田舎館村高樋八幡10 MAP
観覧期間:2017年4月22日(火)~11月7日(火)/9:00~17:00(最終入館16:30)
紹介ページ:http://www.vill.inakadate.lg.jp/docs/2017092100011/

冬の田んぼアート

2016年から「冬を楽しむ!雪を遊ぶ!」をテーマに始まった”冬の田んぼアート”
光と影の芸術「スノーアート」を展示するほか、さまざまなワークショップや、体験プログラムを実施し、大人も子どもも楽しめるイベントです。
2018年のスノーアートは、昨年までスノーアートを制作したスノーアーティスト、サイモン・ベック氏から技術を継承した「スノーアーティスト集団 It’s OK.」が制作します。

開催場所:弥生の里展望所(道の駅いなかだて)※第2田んぼアート会場
住所:〒038-1111 青森県南津軽郡田舎館村高樋八幡10 MAP
開催期間:2018年2月9日(金)~2月12日(月祝)
─2月9日(金) 10:00~17:00(最終入館 16:45)※作業風景
─2月10日(土)~12日(月祝) 10:00~21:00(最終入館 20:45)
※スノーアートライトアップ/2月10日(土)~12日(月祝) 17:00~21:00

田んぼアートは、”みる”より”やる”が楽しい!

田舎館村の田んぼアートは田植えから稲刈りまで、すべてを手作業で行っています。
村の農家の方々や、役場の職員さん、村民の皆さんと一緒に、村外県外の皆さんも参加することができるのです。
農業のおもしろさに触れつつ、15,000平方メートルの大キャンパスに稲でアートを描く。そんな、とびっきりの自然体験プログラムに参加してみてはいかがですか?

田植え体験に参加する

例年、5月下旬~6月上旬に開催。申し込みは、5月上旬から受付を開始しております。

稲刈り体験に参加する

例年、9月下旬~10月上旬に開催。申し込みは、9月上旬から受付を開始しております。

編集後記

なにもない村。
観光名所や、大自然や、登山できる山や、海水浴ができる海や、誰もが知ってる名産品や、伝統的なお祭りや。そういったものがないまちは、どうやって人を集めればいいのだろうか?

田舎館村は、なにもない場所に「コト」を創った村なのである。
お金を使って「モノ」を造るのではなく、アイデアと創造力を使って「コト」を創った村。

「モノ」は、造った瞬間から劣化していくが、「コト」は、進化し発展させることができる。探求心と成長欲求さえあれば、どこまでも前に進むことができる。

田舎館村は、村民と役場職員が一丸となって、田んぼアートを進化させている。
複雑な作図に挑戦するであったり、稲ではない他の資源を使った自然アートに挑戦するであったり、そういう努力が実を結び、『田んぼアートの村 田舎館』というブランドを今築き始めている。

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